株式会社TATERU bnbが提供するIoTデバイスの「TRIP Phone」がそのサービスを終了し話題になっています。
民泊業界のサービス向上に一役を買うと期待されていたこのサービスは、なぜ失敗に終わってしまったのでしょうか?
この記事では、「TRIP Phone」のサービスの紹介と失敗した理由の解説をしていきます。
Contents
訪日外国人の民泊利用者が増えている
年々増加傾向にある日本へ観光で来る外国人。
その中の多くの人は民泊を利用しています。
ホテル、旅館に次ぐ第三の宿泊施設として浸透しつつある民泊ですが、その人気は外国人にもあるそうです。
他の宿泊施設に比べて低価格なプランを提供していることや、日本の暮らしや文化をよりその身で体験することができることが理由です。
観光庁が発表した宿泊旅行統計調査結果(2019年12月)によると、その年の外国人宿泊者数は780万人で、宿泊者全体の18.5%を占めていました。
それだけに宿泊業界への影響力は凄まじく、各施設はそれぞれの策で外国人の宿泊者を増やそうと努力をしています。
そこで登場したのが「TATERU Phone」
株式会社TATERU bnbが展開するこちらのサービスは、宿泊事業者向けに「TRIP Phone」というIoTデバイスのレンタルを行っていました。
このデバイスでは、多言語対応のコンシェルジュが宿泊者向けに、24時間チャットによる観光案内やレストラン予約、タクシー手配、様々なサポートなどを提供してくれます。
つまり、接客やサービスなどを民泊の管理者の代わりに行ってくれるのです。
このサービスは多くの民泊に取り入れられると予想されており、民泊サービスの質の向上が期待されていました。
「TRIP Phone」の機能は?
では、具体的に「TRIP Phone」はどのようなサービスを宿泊者に提供していたのでしょうか?
この項目ではこのデバイスの機能を紹介していきます。
- チャット機能
- 翻訳機能
- デザリング
- 交通予約
- ミュージックイベント機能
- オーディオツアー機能
- アクティビティ機能
- エマージェンシーコール機能
- タクシー予約機能
- スキャン機能
- ベジタリアン向けレストラン検索機能
- 物販サービス機能
それでは1つずつ見ていきましょう。
チャット機能
英語・中国語・韓国語・日本語に対応可能な専門のコンシェルジュが24時間体制で観光予約などをサポートしてくれます。
宿泊者の方々が安心して、スムーズに旅を楽しめますね。
翻訳機能
手書き入力にも対応している翻訳サービスを搭載しています。
日本語のわからない観光客にとっては必須となる機能ですね。
テザリング
この端末をアクセスポイントとして、自身のデバイスにネットワークを共有することができます。
公共のwifiが少ない日本で旅をする上でこちらの機能は便利ですね。
交通予約
新幹線や飛行機などの移動手段の予約が可能です。
慣れていない発券機や言語の通じない窓口で苦労してチケットを取る手間が省けます。
ミュージックイベント機能
フェスやクラブ、コンサートなどの予約が可能です。
オーディオツアー機能
日本の様々な観光スポットで使用できる音声ガイドです。
ガイドさんが多言語に対応していない観光地も多いので、とても便利ですね。
アクティビティ機能
観光ツアーやショーエンターテイメント、カルチャー体験などの予約が可能です。
他の予約機能と同様に便利ですね。
エマージェンシーコール機能
医療機関の手配や病人の移送、治療費キャッシュレスサービスが利用できます。
外国の地での非常事態にはとても困ってしまいますが、こちらのサービスがあれば安心です。
タクシー予約機能
英語でタクシーを呼び出すことのできる機能です。
スキャン機能
様々な商品のバーコードをかざすだけで、その商品の情報を利用者の言語で提供してくれます。
ベジタリアン向けレストラン検索機能
ベジタリアンの為のレストランの情報を多言語で提供してくれます。
ベジタリアン人口が少なく、そのような人々のニーズに対応したレストランが少ない日本においては非常に便利ですねえ。
物販サービス機能
常駐スタッフを配備していない宿泊施設でも軽食やドリンクなどを購入できるサービスです。
専用の物販スペースからデバイスの決済を利用して商品を買うことができます。
サービスが終了した理由は?
2020年3月31日の15時に『「TRIP Phone」サービスはその終わりを迎えてしまいました。
「TRIP PHONE」サービスは提供開始以来、多くのお客様にご利用いただいておりましたが、諸般の事情により、2020年3月31日(火)15:00をもちましてサービスを終了することといたしました。(中略)これまで「TRIP PHONE」サービスをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。今後も、社員一同、お客様にとって「より便利で」「より使いやすい」サービスの提供を目指してまいりますので、 変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
というお知らせが公式サイトには公開されており、この「諸般の事情」については詳しく語られていませんが、その時期から推測をすると新型コロナウイルスの影響による旅行者の激減に影響を受けてしまったのかもしれませんね。
他の事業は今も展開中!
「TRIP Phone」事業は終わりを迎えてしまった株式会社TATERUbnbですが、他の事業は今もなお拡大中であり、スマートホテルや町屋タイプの宿泊施設などの展開をしています。
これらのサービスはICTを利用した質の高いサービスと独自の体験が特徴となっています。
中でも「MUSUBI」シリーズの施設は「街に暮らすように、旅行者にこれまで経験したことのない”新しい旅”を提供し、それを通じで地域や文化を豊かにする」という目標を掲げており、他には無いような宿泊体験を提供しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「TRIP Phone」サービスが終了してしまっても、まだまだ目の離せないサービスがありますね。
これまでも、ありとあらゆる企業は失敗を繰り返し、その経験を活かすことで世の中を圧巻するようなサービスを生み出してきました。
株式会社TATERUbnbが我々を驚かせてくれる日が来ることも、そう遠くはないでしょう。
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参考サイト
「訪日外国人旅行者向けのIoTデバイス、英語でのタクシー予約機能追加」
https://www.hotelier.jp/inboundnews/service/tateruphone_20161226.html
「宿泊事業者向けレンタルサービスの提供決定 トリップコンシェルジュが24時間チャットで多言語対応 宿泊施設の訪日外国人対応をスマート化」
https://www.tateru.co/press/post/9486
「町屋タイプ宿泊施設、新たに4棟オープン「MUSUBI HOTEL MACHIYA KATAKASU1,2,3,4,」